DJX を導入すると、ユーザ名を漢字表記するだけでなく、ユーザの所属や役職を管理することもできます。
連載:DJX の導入 で構築した環境を事例に設定後の結果と機能を整理します。
まず、所属は、ドミノディレクトリ内のユーザ文書の [仕事/自宅] - [組織] タブに表示されます。
この画面からもわかる通り、所属は最大4つ登録でき、主たる所属と兼任を3つまで登録できます。
役職は、次の通り、1つだけ登録できます。
この所属や役職は、メールの宛先選択で有効活用できるようになっています。
DXL のメールテンプレートを導入すると、これらの情報を使用した [部署別宛先...] 画面が使用できます。
部署別宛先機能は、各組織情報を階層化して表示し、ユーザを所属から簡単に探すことができる画面を提供します。さらに、表示される組織名の並び順を決めたり、役職者を上位に表示するなど、国内でよくある要件を踏まえた仕組みとなっています。
さすが、DJX。Domino Japanese eXtension ですね!
ただ、DJX を運用していて、いくつか残念な点があります。
部署別宛先画面が Nomad で動かない
1点目がこの [部署別宛先...] 画面が Nomad で動かない点です。例えば、iPhone の Nomad でこのボタンをクリックすると、次のようなエラーが発生します。
エラーから察すると、この機能は Windows ネイティブの機能を利用しているのしょう。Notes クライアントの宛先選択で市民権を得た機能であるだけに残念でなりません。
部署別宛先画面が 64 ビット版のノーツで動かない
またしても [部署別宛先...] 画面です。12.0.2 からは、64 ビット版の Notes クライアントが提供されていますが、この環境では対応していないようです。ためしに実行したところ、[部署別宛先...] ボタンクリック直後に以下のエラーが出ました。
この問題はすでに技術情報が出ていて、Hotfix の提供が始まっているとのことです。詳しくは以下を参照ください。ここまで対応が進んでいるのであれば、改善されるのはすぐでしょうね...
Notes 12.0.2 64 bit 版で DJX の「部署別宛先」ボタンが動作しない
別名に所属が含まれない
次は、メールの宛先など別名のユーザ名だけでは所属がわからないことです。私自身は不便を感じたことがないのですが、総務や経理部門など、様々なユーザとメールを送受信する方は、氏名だけでは判別が難しく、所属も同時に確認したいそうです。
この要望は、DJX が Notes/Domino 標準の別名機能を利用して作成されたことに起因(後述)しており、ユーザ名(別名)だけでは所属まで表現できないからです。
この点に関して、DJX では一部対応されています。DJX メールテンプレートを適用するとメールプリファレンスに [所属] というタブが追加されています。[自動設定] ボタンをクリックすると、ドミノディレクトリから自身の所属を取得してセットすることができます。
ここに所属名をセットしてから送信したメールには、自動で所属がセットされます。受信したユーザがメールを開くと次の通り、所属が表示されるようになります。
なお、この機能は、DJX メールテンプレートの独自機能です。よって、アプリから送信するメールでは効果がありませんので、ご注意ください。
別名機能と所属
DJX のベースとなる別名機能は、ノーツのユーザ名や組織名をその国のローカルランゲージの文字列でも表せる機能です。よって、設定できる別名はノーツの組織階層と合致している必要があります。
例えば、ユーザ『User01 Training/Domino』の別名が『ユーザ01 講習会/ドミノ』だったとします。組織名『/Domino』の別名として『/ドミノ』を登録することになるので、『User02 Training/Domino』の別名の組織も必ず『/ドミノ』となります。
これまでの経験で様々な Notes/Domino 環境を見てきましたが、組織名=所属部署 として利用している会社を見たことがありません。あっても、グループ会社単位で組織名を分ける程度してた。
もちろん、所属は頻繁に変化します。組織名に使用するとノーツのユーザ名が頻繁に変更されることになり、運用が複雑になります。また、ACL や作成者/読者フィールドでは、名前の変更に対して対処が必要です。AdminP に名前変更のリクエストがあり、アプリを含め自動更新が可能ですが、それを前提にしたアプリの設計が必要であり単純ではありません。
このような側面から、組織名は単一、もしくは、かなり大雑把な単位で付与されているのは正しいと思います。よって、組織名≠所属部署 なのは仕方がないと考えます。DJX を設計された方はもちろん気が付いており、別名機能の利用は最小限にとどめ、DJX で必要な機能は独自に定義した項目で管理し、”使える機能”に昇華させたのだと思います。
今となっては、Notes/Domino で日本語ユーザ名を表示する標準アプリとなったわけですから、引き続きがんばってほしいと思います。
DJX 登場以前は?
例によって、蛇足の昔話です...
DJX は、Notes/Domino R5(1999 年 3 月リリース)時代にリリースされた機能です。
それ以前、R4 の時代は、漢字アドレス帳という別の仕組みが存在しました。R4 では、別名機能が存在しませんでした。そんな背景から、ユーザの漢字名を管理する”普通”のアプリケーションとして存在していました。
機能的には、組織名≠所属部署 の運用が可能であったことが唯一の利点といえます。例えば次のように、ノーツユーザ名の組織階層とは別に自由に設定できました。名称だけでなく、階層数も変化させることができたことが、柔軟で便利だったと記憶しています。
ユーザ名 | 漢字名 |
User01 Training/Domino | 講習会 ユーザ01/開発課/情報システム部 |
User02 Training/Domino | 講習会 ユーザ02/情報システム部 |
User03 Training/Domino | 講習会 ユーザ03/営業1課/営業部 |
この点を除けば、部署別宛先画面、並び順の指定、兼任対応など一般的な要望に対応した DJX の方がはるかに高機能ですね。
R4 より過去にさかのぼると、標準的な機能が存在しません。各社対応方法が様々で、同様の機能をパッケージソフト(?)的なアプリに頼っていたり、独自開発していたり、ユーザ発行時に姓名を漢字で入力しているツワモノまでいました。
その対応を見ていると何を重視しているかなど、文化的な背景が透けて見えたり、創意工夫されている点などを発見し、興味深かったことを覚えています。
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