今回はセルに計算式を設定する方法についてまとめます。
式の設定
セルに式を設定する方法は、Range オブジェクトの Formula プロパティを使用します。
次の図のように E10 のセルに E6 ~ E9 までの合計を計算させる場合を考えます。
LotusScript のコードとしては、次のようになります。なお、 oSheet にはこれまでの流れで WorkSheet オブジェクトがセットされている前提です。
oSheet.Cells(10, 5).Formula = "=SUM(E6:E9)" |
単一のセルのアクセスは Range オブジェクトを使用するより、Cells プロパティを使用して行と列を数値で指定(RC 形式)できるので便利です。ただ、設定する式では、列を文字であらわす形式(正式名称を知らないので”A1形式”と呼びます)の方がなじみがあります。
行列を A1 形式に変換
ループや加算減算などを考えるとプログラム内では数値で行列で指定する方が断然向いています。そこで、行と列を A1 形式の文字列に変換する関数を作成します。
まず、数値を文字列に変換する関数です。この関数では、1 を A、26 を Z、27 を AA に変換します(2桁までと単純化しています)。
Function x9ToA(ByVal viColNumber As Integer) As String Dim i As Integer Dim i1 As Integer Dim i2 As Integer Dim s As String i = viColNumber - 1 i1 = (i Mod 26) + 1 i2 = Int(i / 26) If i2 > 0 Then s = Chr(64 + i2) s = s & Chr(64 + i1) x9ToA = s End Function |
Mod は割り算の余りを求める演算子です。これを利用して、i1 変数には1桁目の数値を求めています。i2 は2桁目で Int を使って商の整数部分を求めて算出しています。
これに 64 を足して文字に変換し A - Z の文字列を取得しています(A の文字コードは 65)。
続いて、行と列を A1 形式に変換する関数を作成します。
Function xRCToA1(ByVal viRow As Integer, ByVal viCol As Integer) As String xRCToA1 = x9ToA(viCol) & CStr(viRow) End Function |
行単位の計算式
作成した関数を利用して、行単位の計算式を設定します。白黒とカラーの金額(枚数×単価)と合計金額の3か所を計算します。
ヘッダ行の次の行から、明細の行数(viDoc)分だけ順に式を設定します。
Function xCalcRow(voSheet As Variant, ByVal viDoc As Integer) Dim iRow As Integer Dim i As Integer Dim oRange As Variant iRow = xciHeaderRows For i = 1 To viDoc iRow = iRow + 1 '白黒 Set oRange = voSheet.Cells(iRow, 5) oRange.Formula = "=" & xRCToA1(iRow, 3) & "*" & xRCToA1(iRow, 4) 'カラー Set oRange = voSheet.Cells(iRow, 8) oRange.Formula = "=" & xRCToA1(iRow, 6) & "*" & xRCToA1(iRow, 7) '合計 Set oRange = voSheet.Cells(iRow, 9) oRange.Formula = _ "=Sum(" & xRCToA1(iRow, 5) & "," & xRCToA1(iRow, 8) & ")" Next End Function |
列単位の計算式
続いて、列単位の計算を行います。
次の関数は、指定した列(viCol)の合計を最終の明細行(xciHeaderRows + viDoc)の次の行に SUM 関数をセットします。
Function xCalcSum(voSheet As Variant, ByVal viCol As Integer, ByVal viDoc As Integer) Dim oRange As Variant Dim iMin As Integer Dim iMax As Integer iMin = xciHeaderRows + 1 iMax = xciHeaderRows + viDoc Set oRange = voSheet.Cells(iMax + 1, viCol) oRange.Formula = _ "=Sum(" & xRCToA1(iMin, viCol) & ":" & xRCToA1(iMax, viCol) & ")" End Function |
列単位の合計は、枚数と金額の計 5 列にセットします。
Function xCalcCol(voSheet As Variant, ByVal viDoc As Integer) Call xCalcSum(voSheet, 3, viDoc) Call xCalcSum(voSheet, 5, viDoc) Call xCalcSum(voSheet, 6, viDoc) Call xCalcSum(voSheet, 8, viDoc) Call xCalcSum(voSheet, 9, viDoc) End Function |
メインルーチンの修正
今回作成した関数を実行するためメインルーチンに以下の行を追加します。
Sub Initialize ・・・ '使用量出力(年月度指定) iDoc = xPrintUsages(oSheet, 2023, 10) '計算式のセット Call xCalcRow(oSheet, iDoc) Call xCalcCol(oSheet, iDoc) 'Excel を UI に表示 oXls.Visible = True End Sub |
ここまでのプログラムを実行すると、下図のように合計が表示されます。
まとめ
今回は、セルに式を設定する方法について記載しました。シートにアクセスしようとすると、セルの指定や式の表現で A1 形式が必要となることが多いです。また、RC 形式の場合は”行・列”の順で、A1 形式の場合は”列・行”の順となります。セルの指定方法がバラバラで混乱しますね...
今回作成した関数を利用することで、”行・列”の順で固定化でき、あらぬバグを回避にもつながるかと思います。
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