2024年 10月 25日にうどん(香川)県 高松市で開催された『ノーツ・しこく・フェスタ 2024』のレポートです。イベント本体はもちろん有意義なものでしたが、前後のエクストラツアーも充実しており、全方位で魅力的なイベントでした(結果的に 4 日間もうどん県に滞在...)。
イベントの全体像については、以下のブログを参照ください。一緒に参加した仲間がすでに公開してくれています。
ノーツコンソーシアムブログ:ノーツ・しこく・フェスタ2024 開催
私はこのイベントで、ミニセッションを担当しました。『AIとNotes/Domino 禁断のコラボ ~ 生成 AI 実装事例集』というタイトルで ”一席” 設けさせていただきました。
生成 AI 実装事例ということで、OpenAI の gpt-4o の API と連動したノーツアプリを 4 本を一気に紹介させていただきました。
どんなアプリなのか、ざっくり紹介させていただきます。
1. AI じゃダメなんですか? - AI 文書仕分
文書作成者がタイトル、カテゴリ、要約を記入していると、その人の知識や経験、好みや文章力で統一感がなくなるという、文書管理のお悩みあるあるを AI で解決しようというサンプルです。
Notes/Domino に関する HCLSoftware Blog をコピペしてノーツ文書として保存し、勝手に事例にさせていただきました。もとの文書を AI に送信し、タイトル、カテゴリ、要約を生成させています。
ビューで比較すると効果は一目瞭然です。AI ってすごいですね。
カテゴリは、ドキュメントタイプ、テーマ/トピック、キーワード(タグ的なもの)の 3 種類生成しています。これらカテゴリを複数の人間が的確に行うのは不可能に近いと思います。
ビューのカテゴリ分けはノーツの特徴的な機能で大変便利です。それを活かすためにもカテゴリの適切な設定、平準化は重要ですよね。
2. AI が導く、次世代の学習体験 - AI Learning
eLearning のコンテンツって作成時間がかかる割に利用が一瞬だったり、さまざまなレベルの利用者を前提したコンテンツが難しかったりと、作成作業は非常に非効率ですよね。これを AI に助けてもらおうというサンプルです。
次のように学習のテーマと目標を入力し、学習をスタートするだけで、コンテンツは AI が生成してくれるというアプリケーションです。
生成されたコンテンツは、次の通り、体裁を整えたノーツ文書として提供されます。キーワードはリンクになっていて、クリックするその単語をより詳しく教えてくれます。
これを繰り返し、どんどん調査(学習)を繰り返すという仕組みです。生成されたコンテンツはノーツの返答文書として階層管理されます。返答文書のツリーをビューで確認すると学習の進捗がわかります。クリックしたキーワード別のビューでは用語集になり、全ユーザ分をキーワードでカテゴライズすると同じ悩み(学習課題)を持つ仲間を探したりできます。
当日のセッションでは解説しなかった技術的な補足を少しだけします。
コンテンツはすべて AI に生成させています。各セクションのタイトルや文章以外にリンクにすべきキーワードも AI 任せです。ノーツの文章として表現する(プログラムで利用する)ためにこれらが的確に判定できる必要があります。これを実現するために、gpt-4o で使用できる Structured Outputs という機能を利用しています。この機能は、AI の返答をあらかじめ指定したスキーマに従わせることができます。要は返答がこちらが指定する JSON フォーマットになるので、どの部分がタイトルで、キーワードは何かが後続のプログラムで簡単に判別できます。
ちなみに、コンテンツの生成は DXL を使用しています。フォントサイズや行間の設定はもちろん、リンクも生成しています。LotusScript で記述されたホットスポットのアクションで、その段落内の文章とともにクリックしたキーワードについて AI に問い合わせしており、連続性のあるコンテンツが生成されるようにしています。
3. 添付画像の説明を生成 - PicInsight
古いノーツで添付した文書はサムネイルが表示されません。また、XPages や LotusScript で添付した文書も同様です。こういった画像ファイルを AI に食べさせ画像に何が写っているか説明させようというものです。
この結果をビューに表示すると、文書や画像を開くことなく、どのような画像か判別できます。より詳細に確認したい画像だけ開けばいいので、便利ですね。
4. AI はとびきりの愛なんだよ! - 忖度メール AI(アイ)
こちらは AI Learning と同様、文章生成系のアプリです。メールの宛先となる方の性格や趣味・趣向と要件を入力すると、メールの文面を考えてくれるアプリです。
メールの作成条件を入力してから、文面作成を依頼します。
すると、次のように素晴らしい文章が生成されます。新しいバイクが欲しいという欲求をダイレクトに伝えることなく、買ってもいいかな?買ったほうがいいかな?と思わる文章になっていますね。私には書けない文章です...
文面の作成は何度も実行できますので、気に入った文書が出るまで繰り返すことができます。実用においては、相手との関係性などを考慮して、言葉尻や事実関係などの調整が必要かもしれませんが、話の流れや構成はそのまま利用できると思います。
まとめ
これまで、AI との連携はつながるかどうかの検証など、技術的な側面からだけ見ていました。今回のセッションはサンプルアプリの紹介がテーマだったので、利用シーンなどを考えながらアプリ開発を行い、AI 利用の可能性を大きく感じました。
AI は膨大な知識を持っています。API を利用するとその知識や情報量を利用したアプリが作成できます。知らないことはもちろんですが、自分にない発想で回答してくれます。新たな気づきが得られることに感動しました。
AI への問い合わせは、標準化された方法で問い合わせします(連載『つないでみよう』参照)。パターンが決まっているということは、応用が簡単ということです。今回紹介した 4 アプリとボツとなった 2 本を合わせて、6 DBを作成しました。9月 19日 の DominoHub Osaka が終わって本格的に作成したので、期間は約 1 ヶ月間でした。Notes/Domino が備える基本機能の高さもありますが、開発効率が高いと感じました。スピード感をもって対応できますね。
AI × Notes/Domino。これまでとは違う新しい世界、そしてその可能性を感じました。今後の展開が楽しみです!
最後に、今回のセッションはノーツコンソーシアム 大阪研でともに活動している 林哲司さん と共同で行いました。前半は私の事例紹介で、後半は林さんの『Notesアプリと生成AIを融合 生成AI実装のポイントと課題』でした。
AI 連係の実装については林さんのブログ『Notes開発者のためのXPagesデザインレシピ』も参考にしてください。
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