2025/04/16

Domino 14 マイグレーション: ”特に追加の設定は不要”ではなかった Windows アカウントの変更

2025 年 6 月 25 日をもって Domino 11 のサポートが終了します。

HCL Domino v11.0.x の EOM (End of Market) および EOS (サポート終了、End of Support) について

この手の話はフェイクニュースのようなフィッシング系の営業活動に利用されがちなので、あえて言います。Domino がなくなるのではなく、新しいバージョンがあるからそっちを使ってね!ということです。単に、古いバージョンのサポートが終了するだけで、Windows 10 のサポート終了と同じです。

新しいバージョンを導入すればさまざまな新機能が活用できます。私がサポートしている Domino サーバもいよいよバージョンアップすることになり、Domino 14.0 の検証をしています。

最近の Domino は互換性が非常に高く、基本的には検証時間がもったいないと感じるほど、フツーにそのまま動作します。そうはいっても、いくつかは気を付けるべき点があり、今回はその中から私の環境では比較的大きかった問題を紹介します。


Domino 14 のバージョンアップ情報

Domino 14 導入に関連して、バージョンアップの手順や注意点に関しては、HCL Ambassador の Kazumasa Hayashi さんのブログ、Domino Lab で詳しくまとめられています。私もこの記事を一読したうえで検証にとりかかりました。

Domino Server をV14 にバージョンアップ!

私が担当する環境では XPages を利用していなので、何も問題はないだろう、これまでのバージョンアップとは変わらないなと判断しました。


遭遇した問題

検証環境に Domino 14 をインストールしました。インストール作業自身は順調に進み、なんの問題もなく終了しました。ところが、通常アプリとしては正常に起動するのですが、サービス起動ができないのです。

Domino Console を起動して確認すると次のようなパニックエラーが発生していました。

[156C:0002-1570] HCL Domino (r) Server (64 Bit), Release 14.0FP3 HF33, February 05, 2025
[156C:0002-1570] (C) Copyright HCL Technologies. 1987, 2023

[156C:0002-1570] comp = 11, fnc = 81, probeid = 79, errcode = 5010, extsympt = 0065
69200000
Unexpected internal error returned to logger: 0x20692010

[156C:0002-1570] Thread=[156C:0002-1570]
[156C:0002-1570] Stack base=0x6487D080, Stack size = 12640 bytes
[156C:0002-1570] PANIC: Unexpected internal error returned to logger: 0x20692010


原因はフォルダのアクセス権限

HCL Ambassador 仲間やカスタマーサポートの協力で、早い段階から以下の記事に遭遇しました。

HCL Domino 14 (Windows 版) インストーラーウィザードで追加された Windows ユーザー名の入力画面について

そういえば、インストール時に見たことない画面が増えたなと感じてはいたのですが、この記事内に『デフォルトのまま NT AUTHORITY\LocalService を指定してインストールした場合は、特に追加の設定は不要です。』とあったので、黙殺していました...。

その後、以下の記事の 2 をみて、気が付きました。

HCL Domino 14 バージョンアップ時の注意事項


Domino 14  から サービス起動する際のアカウントが、 ”Local System” から ”Local Service” へ変更となりました。そして、Domino 14 のインストーラではその権限設定を自動で変更する仕様のようです。

ただ、自動で変更されるのはプログラムディレクトリとデータディレクトリのみとなっています。それ以外のフォルダを利用している場合、手動にて権限変更する必要があるのです。


外部フォルダの利用

検証環境のDomino ではさまざまな外部フォルダを利用していました。まず notes.ini では、次のような設定をしていました。

Technical Support ログ LogFile_Dir=D:\Lotus\Domino\TechnicalSupport
トランザクションログ TRANSLOG_Path=D:\Lotus\Domino\trans_log
全文索引 FTBasePath=D:\Lotus\Domino\Index_FT

また、アプリやメールなど DB の用途ごとにフォルダを切り、ディレクトリリンク機能で Domino サーバに認識させていました。

このような細かな設定は

  1. Disk の枯渇対応
  2. レスポンス改善を目的に一部を高速なストレージへ移行
  3. フォルダごとのサイズを把握しやすくする
ことが目的です。特に 1 と 2 は物理サーバで、リソースを柔軟に増減できず、SSD のような高速ストレージが希少だった時代の名残です。将来のリソース不足に備え、部分的に移行しやすくするために行った設定でした。


権限の設定と解決

これら外部フォルダに対して、順に Windows の権限を付与します。下図の通り、LOCAL SERVICE に対してフルコントロールを設定します。

すべてのフォルダに設定が完了したら、無事サービス起動するようになりました。PANIC のメッセージを出す前に少しでもヒントとなるような情報を出してくれてれば、もっと早く気が付けたんですけどね...。


おわりに

今回のトラブルは Domino サーバに対して追加で行った設定があだとなって発生しました。ただ、どの設定も正規の Domino の機能として提供されたものです。開発したアプリが外部のローカルフォルダをアクセスしているならまだしも、正規の機能の範囲は対応してほしいところですね。

特に、トランザクションログは、データディレクトリとは別の RAID カードのディスクに配置することを推奨する記述が Administrator ヘルプにあったと思います。要は、トラブルの種を推奨していたということなので、たくさんの Domino ユーザが該当すると思います。これからバージョンアップをご検討の方は、十分お気をつけください。


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